コラム

2021.02.26

統合失調症になりやすい人とは?

こんにちは!!大阪市城東区鴫野駅から1分「けいクリニック」院長、精神科専門医の山下圭一です。
今日は統合失調症になりやすい人に関して説明していきます。

統合失調症になりやすい人というのは一言でいうのは難しく、さまざまな遺伝や性格、環境因など要因が関与しています。
しかしながらストレスとのうまい付き合い方を身に着けることは統合失調症になりにくくすることに役立つとは考えられます。
以下に詳しく見ていきましょう。

目次

1.統合失調症とは

統合失調症とはうつ病や双極性障害、不安障害と同様に精神疾患の一つです。
およそ100人に1人の割合で発症するといわれており、男女比はほぼ同数で発症年齢は10代後半から30代頃までが最も多いといわれています。
この病気は脳の病気で、さまざまな刺激を伝え合う神経のネットワークにトラブルが生じることで起こる脳の機能障害によって起こります。
近年、病気に対する研究の進歩、さまざまな治療薬の開発により、この病気の治療は飛躍的に進歩しています。
この病気にかかっても、早期に専門医の適切な治療を受ければ、多くの患者さんは社会生活に復帰することができます。

 

 

2.統合失調症の原因

統合失調症の発症はストレス脆弱性モデルというものが提唱されています。
このストレス脆弱性モデルというのはもともとストレスに弱い素因を持っており、それに色々なストレスがかかることで発症するという仮説です。

このもともとストレスに弱い素因というものに遺伝などがかかわっていると言われています。というのも近親者に統合失調症の方がいると罹患率が上がったり、一卵性双生児の方が二卵性双生児よりも発症する可能性が高いためです。

しかしながら全く同じ遺伝子を持っている一卵性双生児であっても共に統合失調症にかかる割合は49%と言われています。そのため遺伝だけではなく環境因やストレス因などが関与すると考えられています。

また統合失調症の人には一定の性格傾向があると言われております。その性格とはおとなしい、素直、内気、控えめ、人と付き合うのが苦手、傷つきやすいなどの気質です。これらはすべての人に当てはまるわけではありませんが、統合失調症の発症に影響があるのではないかと考えられています。

加えて出生前の母親の感染症や栄養不良や胎児の低酸素状態も発症の原因になると報告されており。授精時点の父親が高齢であることも統合失調症の発症リスクを高めることが知られています。しかしながらこれらがあったからといって必ずしも統合失調症を発症するというわけではなく周産期のイベントは危険因子の1つでしかありません。

上に挙げた生まれ持った素因に日常生活の中でのストレスや、転校・転居・離婚など環境の変化のような社会的な要因が加わり統合失調症が発症すると考えられています。

3.統合失調症になりやすい人とは

上記より統合失調症にかかる原因として生まれながらの様々な素因とストレスの大きさが関係していると考えられます

ストレスの大きさというのはストレス自身の大きさとそれを受け止める人のストレスに対する耐性で定義してみるとわかりやすいかもしれません。
すなわち同じストレスがあってもストレスに敏感すぎる人はそれによって心のバランスを崩した結果、さまざまな不調を起こしやすく、ストレスに対して上手に対処する方法を身に着けている人は心のバランスを崩しにくく心も体も大きな影響を受けることが少ないと考えられます。

 

したがってストレスの軽減やストレスとの上手な付き合い方を身につけて行くことは統合失調症をはじめ様々なこころの病気の予防につながると考えて良いでしょう。
ストレスとのうまい付き合い方「ストレスコーピング」に関してはまた別記事で説明していきます。

統合失調症になりやすい人とは遺伝負因や一定の性格傾向、周産期のイベントがあった方、また大きなストレスに暴露されている人やストレス耐性が弱い人といってもよいかもしれません。ただし上記の要因がすべてあったとしても必ずしも統合失調所が発症するというわけではないのでその点は注意してください。

また発症しても現在は治療の技術が進歩しており早期に治療することで社会生活を送ってる患者さまも沢山おられます。早期発見、早期治療と継続した治療をすることが重要になってきます。